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悩み方にも「うまい」「下手」がある!? 悩み方を間違えてしまいはまる落とし穴とは~悩み方の作法~

今回は、精神科医である和田 秀樹先生の「悩み方の作法」という本をご紹介いたします。この本では悩み方にも「うまい」「下手」があるといい、下手な悩み方をしている時に陥りやすい思考パターンや、逆に建設的なで上手な悩み方をする方法について書かれています。

著者のカウンセリングの経験や、精神科医の森田正馬先生という方が生み出した精神療法の1つ、森田療法をベースに、悩み方について具体的に述べられており、仕事、家庭、学校内での人間関係の悩みや、コンプレックスを持つ方にとって、悩みを解決するヒントがたくさん詰まっています。

悩みは増殖する?悩みを解決できなくなってしまう思考パターンとは?

悩み方にも「うまい」「下手」があり、 自分では解決できないことについて悩んでしまうと、解決もできず、 余計にそこで悩んでしまうという悪循環が起こります。
1つめの問題は、望みと行動が一致していないことです。2つめの問題は、本当の問題点が見えなくなっていることです。
一点突破をすればすべてがよくなる、といった考えになってしまうと、その人が本当に悩むべきところを見落とすことになってしまうことは多いのです。

下手な悩み方となってしまう典型例は、自分では解決やコントロールができない物事に悩んでいる状態です。一生懸命に悩んでいるにも関わらず、状態が良くならないため、その悩みは解消されません。脳科学的には、脳が一度に考えられることは少なく、他の視点から物事を考えたりすることができなくなってしまいます。

そのため、悩みの先にあった本来の目的も考えられず、行動や思考もずれてしまうことがあるといいます。悩みに執着してしまうため、本当に解決すべき問題に目を向けられなくなってしまいます。例えば、よく体型などにコンプレックスを持っている方が「もっと痩せていれば人から好かれる」など1つの悩みが解決すれば、全て解決するというような考え方になってしまいます。

上記のような悩み方をすることで、悩みはさらに不安をよび、悩みが「自己増殖」を始めるといいます。悩みが増殖し続け、楽しみや喜びを感じない、良いことが起きても気分が晴れないなどの状態が2週間以上続くような場合は、心理学上うつ病と診断されます。

悩み方の「うまい」「下手」は何で決まるのか?

脳科学的な見方で脳をコンピュータに例えると「ハードディスクは大きいけれど、メモリはとても小さい」からです。つまり、脳の記憶容量はとても大きいのですが、脳が一度に考えて処理できることは、とても少ない。 だから、ひとつの悩みにメモリーを占有されてしまうと、もう他のことにはまったく目がいかなくなる。
悩み方が下手で、悩みのベクトルが間違った方向に向いていると、ろくでもないことになりがちです。本当の目的と違うところで悩んでしまうと、悩みがエスカレートするようなことが起こってしまうからです。
悩み続ける人というのは「変えられないこと」に悩みます。そして、悩みの原因が変えられないから、よけい悪あがきすることになってしまいます。

本の中では、 その人が本当に悩むべきところを見落としている状態を、「悩み方のベクトルが悪い」としています。悩みの「うまい」「下手」はこのベクトル(方向)で決まるといっても過言ではないでしょう。先述の通り、変えられないことで悩めば解決に至らず、悩みに執着していきます。

また、この悩み方を間違えてしまいがちな罠の一つに、がんばれば変えられるという考え方があります。この思考の落とし穴は、自分ではどうしようもないこと、変えられないことにも関わらず、自分の努力不足だと捉えているのです。

これは私の主観ですが、真面目で、物事を完璧に行いたいと思う傾向があり、問題を自己責任にしがちな人は、真面目に問題と向き合うからこそこの落とし穴にはまりやすいのかもしれないと思いました。心理学的にはメランコリー親和型と呼ばれる性格タイプに分類されます。

「上手く」悩み、解決するための行動につなげていくには?

「それぞれが問題となる確率を考えた上で、確率の高い順に優先順位をつけて、対策を立てる」といった発想ができると、神経症的な悩み方から脱却できます。
具体的に解決できることについて悩む分には、「ここまでは対処しておこう。それ以上のことは、起きたらそのときに対処しよう」と「損切り」の発想をすることもできるので、悩みの自己増殖は起こりません。
「すべてはしょせん実験にすぎない」と思うこと。 「損してもこの程度だ」と思えるように損切りをしておくこと。 うまくいかなかったときにフォローができるようにしておくこと。

上手な悩み方をするためには、いくつかの点で発想を切り替えていく必要があります。 その切り替え方の一つにあるのが、「思考力より試行力」 だといいます。この発想とは、著者いわく 「しょせん、ものごとはすべて実験なんだ」という前提で考えることをいいます。この発想を基にすると悩みが起きた時の考え方は下記のようになります。

悩みが原因で起こる問題は、発生する確率の高いものと低いもので分けて考えられます。想定以外のことが起きたり、確率が低いものはあらかじめ損切りすると決めます。確率が高く、自分で対処できることからまずは試してみる(実験してみる)。成功すれば良しとし、うまくいかなければ次の対処法を試します。

ここで大切なのは、自分の知っている範囲で悩んでいても分からないことがあるため、まず試すことが必要になるということです。もちろん試すことで良い答えが出るわけではありませんが、試すことで結果はでます。結果を踏まえて仮にそれが上手くいかなくてもすぐフォローしたり、問題への対策を考えることもできるようになります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?悩みに対しての考え方について触れてきましたが、まずできることとして、「悩んでいることが本当に自分で解決できることなのか?」を考えてみるのもいいかもしれません。

自分が「下手」な悩み方をしているかどうか気になった方は、この本の、第1章 悩み方にも「うまい」「下手」がある、第2章 「変えられること」 「変えられないこと」を見分ける、を読まれることで、悩まなくてもいいことに気づき気持ちが楽になるかもしれません。

ずっと悩んでいるのに解決できない悩みがある方に、ぜひ一読いただきたいと思える本です。

本の目次

  • 第1章 悩み方にも「うまい」「下手」がある
  • 第2章 「変えられること」「変えられないこと」を見分ける
  • 第3章 建設的な悩み方
  • 第4章 悩みは人を成長させるのか?
  • 第5章 「悩む」より「動く」の時代
  • おわりに 「答えのない時代」の不安を力にする悩み方
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