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良い人間関係をつくる上で不可欠な愛着とは?~愛着障害-子供時代を引きずる人々~

あなたが生活している中でこんなことありませんでしたか?

人と信頼関係を作ることになんとなく不安を感じる。そのため人と深い関係を築けない。 困った時に人に助けを求められなくて、失敗してしまった。

例えば仕事などで、自分では対処できないような問題が起こった時などに、中々周りの人に助けを求められないなど、あなたの日常でそんなことはありませんでしたか?もしかすると、それはあなたの中で「愛着」がきちんと形成されていないからかもしれません。

今回はこの「愛着」について、岡田尊司先生が書かれた「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」を参考にしながらご紹介していきます。

人間関係をつくるうえで必要な愛着とは?

「愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。人はそれぞれ特有の愛着スタイルをもっていて、どういう愛着スタイルをもつかにより、対人関係や愛情生活だけでなく、仕事の仕方や人生に対する姿勢まで大きく左右されるのである」
「愛着の安定性や様式は、対人関係のスタイルや親密さの求め方だけでなく、その人の生き方や関心、恋愛や子育ての仕方、ストレスに対する耐性や生涯の健康にまで関わっている」

愛着は特に両親との関係性が影響しているとされており、幼少期から形成されていき、その際にできた愛着は一生涯持ち続けるとされています。愛着をきちんと形成できるかどうかは、人生を左右させる問題といっても過言ではないでしょう。

愛着が形成できないとどうなる?

「愛着障害の人は、誰に対しても心から信頼も尊敬もできず、斜に構えた態度をとる一方で、相手の顔色に敏感であるといった矛盾した傾向を往々にして抱えている。尊敬できない相手であっても、それにすがらずには生きていけないからである」

冒頭で少し触れましたが、愛着がうまく形成できないと、人に対して心から信頼ができなくなり、成長を重ねるにつれて対人関係で問題を抱えやすくなる傾向があります。岡田先生によれば、愛着は大きく3つのスタイルに分けられ、愛着形成ができなかった際に、不安型、回避型のスタイルが形成されます。

不安型・・・他者との親密な関係を作ることを望み、それが失われることへの不安を持つ。

回避型・・・ 愛着対象から拒否される不安や怖れを感じることはなく、愛着関係を否認・軽視し、親密な関係を拒む。

安定型・・・ 不安や回避の傾向も少なく、 親密な関係を発展させることや、必要であれば、他者に依存することに快適さを感じる。

ではどんな時に愛着を形成できなくなってしまうのでしょうか。

「愛着形成が完了しない時期に母親から離された子どもは、愛着自体が乏しい脱愛着傾向を抱えやすく、母子分離不安の高まった時期に母親をうしなうと、「見捨てられ不安」や抑うつが強まりやすい」
愛着形成において、両親との関係が非常に重要になってきます。そのため、親が離婚して片親になる、両親がいないため、施設に預けられるなどをした場合、愛着が形成されずらいといわれています。

10代以降に愛着を形成することはできるのか?

では、幼少期に愛着を形成できなかった場合、その後打つ手はないのかというとそんなことはありません。親との愛着が不安定な場合でも、それ以外の大人や仲間に対する愛着によって補われて、安定した愛着が形成されることもあります。

具体的に大人になってから、愛着を形成するためにできることを以下にまとめてみました。

安全基地となる存在を見つける

「安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である」
「何でも話せる人をもつことが、心身の健康を守るためにも、愛着障害の克服にも必要なのである。家族、友人、恋人、パートナー、教師、宗教指導者、カウンセラーなどの専門家など誰でもいい。傷つけられたり、説教されたり、秘密をもらされたりする心配なく、何でも話せる人をもつことが、それを媒介として、変化を生み出す第一歩なのである。」

安全基地となる人がいることで、最初はその人に相談したりしていきますが、愛着が形成されていくにつれて、その人を頼る頻度も減っていくといわれています。

愛着の傷を修復する

「本当の意味で安定した、バランスのよい愛着スタイルを手に入れるためには、未解決の傷を修復する必要がある。」
愛着が傷ついてしまう出来事には様々なものがあります。親との死別や別居、虐待、離婚、親が自分よりも他の兄弟ばかりをかわいがったこと、親からいつも否定されたことなど。

しかし、この出来事をただ自覚して納得しようとしても、それだけでは愛着の傷は癒されません。

「認知的な修正よりも、もっと大事なプロセスがある。そのプロセスとは、言ってみれば、幼い頃に不足していたものを取り戻すことである」

傷を修復するための方法や、実際修復された例などが多数書かれていましたが、代表的なものは以下です。

絵を描くなど、言語を使わずに・自分を表現してみる。

傷ついた経験を一つ一つ言語化し、他の人に伝える。

役割と責任を持つ

「愛着障害を抱えた人がそれを克服するために、安定した愛着スタイルばかりを課題として追い求めることは、必ずしも得策でない。それよりも、自分がやるべき役割を担い、それを果たそうとして奮闘するうちに、まず周囲の人との関係が安定する」

あえて、社会に出て仕事をしてみるなども効果としてはあるようです。岡田先生は、どんなに人付き合いが苦手な人でも、必要に迫られれば対人関係を作るスキルは向上し、その中で人と一緒に何かをする楽しさも経験することができ、その結果周囲の人と安定した関係が作れるようになっていくといいます。

あとがき

いかがでしたでしょうか?愛着障害 子ども時代を引きずる人々(岡田尊司 著)を読んでみて、今回は人間関係を形成していく上で重要な、愛着について主にお伝えしました。特に、幼少期に愛着を形成できなかったり、傷ついた人が、大人になってから愛着をどう形成させていくのかという手段はより詳細に書かれていました。

例えば、安全基地になってくれる人を探すうえで重要なポイントや、愛着の傷を修復するの部分で触れている、「幼い頃に不足していたもの」を具体的にどうやって取り戻すのかという点についても書かれていました。

興味のある方は、この本の「第六章 愛着障害の克服」を読んでみると、より詳しく方法を知ることができます。

周りとの人間関係に悩んでいる方、人を信用できないと感じる方には、新たな発見があると思える本なので一読してみてはいかがでしょうか?

本の目次

  • 第1章  愛着障害と愛着スタイル
  • 第2章 愛着障害が生まれる要因と背景
  • 第3章 愛着障害の特性と病理
  • 第4章 愛着スタイルを見分ける
  • 第5章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情
  • 第6章 愛着障害の克服
  • おわりに 愛着を軽視してきた合理主義社会の破綻
  • 愛着スタイル診断テスト
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