わからない。

わからない。

たったそれだけなのにまるで死刑宣告でもされているかのような気分になる。
偽るのが得意だった。隠し事が得意だった。でもそれももうできない。
偽り方も隠し方ももう忘れてしまった。
記憶がない。人の顔も覚えられないし、名前も、やっていることも、話した事も。上がったテンションも急に沈んで、何を話していたか全くわからなくなる。何が楽しかったのかも何が悲しかったのかも、わからなくなる。昔のことももうわからない。何が原因だったのかとか、なんでそうなったのかとかも。今、生きていることすらわからなくなる。

自傷するのが好きだ。ODも数が多ければ多いほど楽しくなる。
死にたいとかそんな大層な事じゃない。ただ、血をみたいだけ。自分の腕から血が出てて、赤く色づくのがたまらなく愛しく感じる。傷の数だけ楽しくて、むなしくて。そう思っている自分が一番馬鹿馬鹿しくて。愛しくて愛しくて、腕を切り落として抱きしめたいくらいに好きなんだ。ODもそう。痛くなる胃の感覚が好きだ。体が壊れていく感じが愛しくて大好き。骨が解けるとか、後遺症がとか。その言葉が凄く嬉しい。
でも、周りからしたら馬鹿なことをしてるんだって。その意味がね、わからないけど、認められていない事はわかる。だからと言って何も、思えなかったのだけど。

自分を好きだという言葉が嫌い。
好かれる、興味を持つ、性対象として見られる、生物だとして認識される事に嫌悪感を感じる。別に、好意を持たれなくても生きていけるのだからと思ってしまう。だから、人の好き嫌いがわからない。陰口も文句も何も興味がわかない。あの人はどうだったとか、一々そんなこと覚えてない。興味がない。生きていると認識されたくない。好意を持たれるならいっその事恨まれたい。憎んで欲しい。「お前のせいで」って「死んでしまえ」って、言って欲しい。その方が笑えるのに。興味、持てるのに。

愚痴を聞くのが得意だった。話を合わせるのが得意だった。それしか自分にはできないのだと、そう思っていた。
人の言葉を聞くたびに、自分に話しかけられている状況が凄く苛々して仕方ない。自分がどう思われてるとか、自分は頑張ってるのにとか。聞きたくない。聞く意味がわからない。その人の感情が、わからない。どうしてそんなことを言うのか、どうしてそんなことを思うのか、わからない。言われたことに腹を立てるのも、絶望するのも、わからない。どうして?なんで?って思って思考回路から抜け出せない。答えが出ない。

やりたいことも、したいことも、わからない。
生きる為にしなきゃいけない事とか、生きる意味とか、本当に必要なの?死ぬことに意味があるの?死ってそんなに魅力的なものなの?幸せになりたいってどんな感覚?不幸だなって思うのってどんな感覚?守りたいってどういうものだっけ。大切ってなんだっけ。
わからない。何を言っても批判しか買わない。納得はされない。だろうなって自己解決して忘れるんだけど、気にはなるんだ。理解されなくていい。ただ、「そうなんだ」って無感情に捨て去ってほしい。どうして話すのかって?それもわからない。

死ぬくらいなら思いっきり自分を傷つけて、思いっきり恨んで、憎んで、ボロボロにして、「幸せだったね」って笑って終わりにしたい。不幸なんて思ってない。幸せだよ。ただ、周りが怒ったり、泣いたりするのが何か嫌なだけなんだ。

でも、母は言うんだ。
「私だって―――――」
まるで不幸自慢だね。くだらないな。

ぜんざい
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タイプ名 : 助言者
2017年9月27日 03時30分