うつ病の人との接し方
病気になった時、身近な人に励ましてもらえるとうれしいものです。
しかし、うつ病などの精神障害の場合は「早く良くなりたい」「早く治そう」と思っていても、励ましてもらうと逆効果ということもあり得ます。
一緒に病気に立ち向かっているつもりでも、空回りしているように感じるときは接し方を見直してみることがお勧めです。
良かれと思った言葉が禁句になる
病気になった方と接するときやお見舞いに行ったとき、つい「早く良くなって」「頑張ってね」「○○さんなら大丈夫」などと言ってしまいがちです。体の病気であればうれしい言葉も、うつ病の場合はかける言葉も接し方も変える必要があります。
うつ病は、ストレス、緊張や不安、意欲や食欲の低下、活動性や環境の著しい変化などが原因となるようです。こうした状況に、脳の働きが何らかの問題に対応できなくなり、うつ病を発症するとも言われています。
ですから、日常の何気ない言葉であっても、脳の働きを超えた「刺激や負荷」となってしまうため、受け止められないことがあるのです。
励ましの言葉
もともと、精一杯頑張ってきた人が、限界を感じてダウンした時、「頑張れ」と言われると落ち込ませることがあります。
「まだ自分の頑張りは足りないのか」と責められているように感じてしまい、落ち込ませるだけになるようです。
うつ病が発症した時点では、もう努力できない、頑張るのは辛い、と思っている時には、励ましの言葉も注意する必要があります。
ただ「頑張れ」と言われるよりも、「一緒に頑張ろうね」という方が支えてもらっているという印象を与え、喜ばれる場合が多くあります。
叱咤激励の言葉
以前出来ていたこと、簡単だと感じていたことが、難しくなるのもうつ病の症状といえます。
そのような時に「そのくらいで負けちゃダメ」「前はできていたでしょ」などと言われることも、病気の治癒を遅らせます。
うつ病の人にとっては、叱咤激励の言葉よりも、気持ちを理解し共有して励ましてもらえることを求めている場合が多くあります。
「今までよくやったね。大変だったでしょ」という過去の出来事の大きさではなく、行ってきたこと伝え、認めてあげることが大切です。
感情的になった時の言葉
無気力になることの多いうつ病。とはいえ、無口になるだけではなく、感情的な発言が増えることもあります。
見守っている周囲の人にすれば、そうした言葉を聞くのがつらいこともありますが、過敏に反応しないことがポイント。
うつ病の人が感情的になっている場合、返答するときの注意点は感情的な言葉を使わないように意識しましょう。
「いつまで○○してんの?!」「いい加減にして」「勝手にしなさい」「もう知らない」などは、追い打ちをかけるだけなので、控えた方が賢明です。
職場でのうつ病の人との接し方
企業や業務では、責任が伴うのが一般です。ただ、スキルや技術を使うだけでなく思い悩むことがストレスとなって、社内の人がうつ病になってしまう場合…長期休暇や疾病手当などを利用しながらも、以前と違う勤務スタイルや状況になっても、その状況を認めてあげることです。
同じように、勤務しているなら「できるだけ聞く側」に周り、少しでも負担になることを避けることも大切です。簡単な質問でも考えなければならいプレッシャーを避けることができるものです。
家族がうつ病になった時の接し方
毎日を一緒に過ごす家族がうつ病になることもありえます。親がうつ病を発症することもあれば、子供や配偶者が病気になってしまうことも。
たくさんのうつ病に関する本やサイトがあるということは、同じ悩みを持つ人が多いということになります。ですから、焦らずにいること、そして家族の中で「受け入れてもらえている」と感じられるようにすることが最善です。
焦ってしまうのは、家族がともに精神的に疲れてしまい、共倒れになることを避けられます。会話や対応方法は、症状によって異なりますから、否定的な対応を避けていることでも回復へ向かうことがあります。
治そうとするよりも、焦らずに理解を示し、「支えている」ということを表現しましょう。
恋人がうつ病になった時の接し方
「すべてを認め受け止めてくれる」愛情をもって支えてくれる人の支えは重要です。
ですから、恋人がうつ病を発症したとしても、まずはうつ病であることを認め、話を聞いてあげることは欠かせません。
家族でない人からも、病気であることを認めた上で受け止めてもらえることは心強いこと。以前とは違うと感じても、否定したり多すぎるアドバイスなどは控えることがお勧めです。
友人がうつ病になった時の接し方
友人の場合は「コミュニケーション度数」にもよりますが、まずは自然に振舞い構えずに接してあげましょう。
これから起きることを悪く考えすぎたり、些細なことでくよくよといつまでも考えている…と感じることがあるかもしれません。
でも、周囲の人の反応が気になり偏見の目で見られることが気になりやすいので、友人と自然に接することが症状を和らげます。
3-4人に1人はうつ病になる時代。今までは、一緒に楽しい時間を過ごしてきた人に、こうした症状が続いているのは辛いことです。
うつ病などの精神障害の場合は、支えてくれる人がいるだけで回復に向かうことがほとんどですから、病院に一緒にいったり時間を一緒に過ごして聞いてあげるだけでも良いかもしれません。